戦略は失敗するもの

企業経営の成功には戦略が大事ともいわれますが、失敗することも当然あります。

 

逆にほとんどが失敗と言っても過言はないでしょう。企業経営は失敗を繰り返しながらも事業を継続し、大きな成功を得られるように変化をしていかなければなりません。

 

先日ラグビーの大学選手権をテレビで見ました。ラグビーは戦略のスポーツと言われています。大学選手権決勝戦で明治大学と対戦した天理大学は、関西学生リーグを圧倒的な力で勝ち上がり、準決勝ではそれまで大学選手権9連覇していた帝京大学にも圧勝しました。もし天理大学が選手権を制覇すれば初優勝なのはもちろん、関西の大学では同志社大学以来の35年ぶりの優勝に成りました。ながらく関東勢にやられっぱなしであったことから関西の他大学からも応援メッセージを受け取り決勝戦に挑みました。

突破力のある外国人留学生を要する天理大学は僅差でリードされていたとしても逆転できると考え、前半の多くの部分を手堅く、エリアを獲得するためのキックを多用し時間を費やしました。後半の攻撃を見るともっと早くからアタックしていれば戦況は変わっていたかもしれません。そして逆転することができず悲願達成とはなりませんでした。

 

「戦略の失敗」

 

そこには自分たちの実力、明治大学の戦力分析を鑑みての戦略であったことでしょう。もちろん初優勝で有る事、他大学からの期待感も選択には影響したでしょう。それを戦略の選択ミスという事は簡単ですが、果たしてそうでしょうか。

 最後のワンプレーで、もしノックオン(ボールを前に落としてしまうミス)をしなければ、逆転トライを決め勝利し戦略通りの結末を迎えたかもしれません。必ず自分が考えたことがうまくいくとは限りませんし、ノックオンをしたのがそれまで大活躍していた外国人留学生であったことも皮肉なものです。

果たして違う戦略をとっていれば、勝利することができたでしょうか。それは結果が解っているから失敗とわかるだけで、戦略立案の段階では採られた戦略がベストであったものに違いありません。もしかしたらキッキングゲームが上手くいき首尾よくエリアを獲得してトライを重ねていたかもしれません。神様以外誰が解るというのでしょう。

 

「失敗から学ぶこと」

 

戦略の成否は、戦略そのものの性質によるもの、時間の経過(戦略変更の早い遅い)によるもの、競合の力、組織の性質、社会変化など。それぞれが影響しあい決められていきます。それぞれを鑑みて戦略は立てられるのですが、それでも必ず成功するとは限りません。逆に失敗することの方が多いでしょう。

考えていた状況と違う、思うようにことが進まない、想定外のことが起こる、もちろんスポーツだけでなく企業経営でもいえることです。

ひとつの戦略に縛られず、その状況に応じてアップデートしていく、失敗することを恐れずリトライする。

それができれば、天理大学はここ数年の間に大学選手権を制覇するのではないかと思います。

 

勝つための戦略はあっても、必ず勝つ戦略はないのです。